消費税インボイス制度とは④【免税事業者】
今回は、免税事業者(消費税の申告をしていない方)のインボイス制度の留意点をみていきます。
1.免税事業者からの仕入れ
インボイス制度においては、免税事業者(消費税の申告をしていない方)からの仕入れについては、原則として仕入税額控除を行うことができません。ただし、令和11年9月30日まで一定の経過措置があります。
※前回記事に記載しています。
2.免税事業者でもインボイス制度後も影響を受けない場合
インボイス制度の実施後も、免税事業者の売上先が次のどちらかに当てはまる場合は、取引への影響は生じないと考えられます。
(1) 売上先が消費者又は免税事業者である場合
消費者や免税事業者は仕入税額控除を行わないため、インボイスの保存を必要としないからです。
(2) 売上先の事業者が簡易課税制度を適用している場合
簡易課税制度を選択している事業者は、インボイスを保存しなくても仕入税額控除を行うことができるからです。
3.上記2以外の場合の免税事業者への影響
課税事業者は免税事業者からの仕入れについて、原則、仕入税額控除ができないこととなります。ただし、令和11年9月30日まで一定の経過措置が設けられており、免税事業者からの仕入れについても、一定の仕入税額控除が可能とされています。
免税事業者等の小規模事業者は、売上先の事業者と比して取引条件についての情報量や交渉力の面で格差があり取引条件が一方的に不利になりやすい場合も想定されます。このような状況下で、売上先の意向で取引条件が見直される場合があります。(例えば、販売単価を消費税分値下げ要請など)
4.課税事業者の選択
現在免税事業者であっても、課税事業者を選択し消費税の申告・納税を行う場合は、インボイス発行事業者になれます。この場合において、簡易課税制度の選択を行えば、仕入税額控除においてインボイスを保存する必要もなく、事務負担を一定程度抑えることができますので、簡易課税制度の選択も含めた検討が必要です。