インボイス制度とは⑯【インボイスの交付にあたっての期間制限】
今回は国税庁ホームページのインボイス制度に関するQ&Aの「適格請求書の交付に当たっての期間制限」を確認します。
インボイス発行事業者は、お客さんの求めに応じてインボイスを発行する義務があります。ただし、一度インボイスを交付すれば、後日、再発行の求めに応じる義務が生じることはありません。
Q&Aの原文は以下の通りです。
問
当社は、小売業を営んでおります。適格簡易請求書をレジにて代金を収受する際にレシートの形式で交付していますが、後日、レシートを亡失したとして、顧客から再交付を求
められることがあります。当社のレジシステムでは 90 日間しかレシートの再発行ができないのですが、その期間を過ぎた場合にはどうしたらよいでしょうか。
答
適格請求書発行事業者は、取引の相手方である課税事業者からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が生じます(消法 57 の4①)。この交付義務については、適格請求書発行事業者
が行った課税資産の譲渡等につき、課税事業者からの求めに応じて生じるものであり、商品の販売時に適格簡易請求書を交付※しているのであれば、一義的にはその時点で交付義務を果た
していることになりますので、後日交付を求められた際に、改めて交付する義務が生じることはありません。
したがって、貴社のように適格簡易請求書を交付のうえ一定期間後にレジシステムによる再交付ができなくなったとしても、消費税法上、何らかの対応が求められるものではありません。
他方、適格簡易請求書を取引の相手方に一度も交付していない場合には、レジシステムの仕様等により一定の期間しか発行できないとしても、そのことをもって交付義務が免除されるこ
とはありませんので、当該相手方から具体的な取引記録が示され、適格簡易請求書を交付すべき事情があると認められる場合には、手書きによるなど何らかの対応を行う必要があります。
※ 適格簡易請求書を交付しようとしたものの顧客が受け取らなかったため、物理的な「交付」ができなかった様な場合であっても、交付したこととして差し支えありません(そのような
場合にも交付した適格請求書等の写しの保存があるものとして売上税額の積上げ計算を行うことができる点については、問 120《売上税額の積上げ計算における適格請求書の交付の範
囲》をご参照ください。)。