消費税インボイス制度とは②【売手】
今回はインボイス発行事業者(売手)の視点からインボイス制度をみていきたいと思います。
1.インボイスの交付義務と写しの保存義務
インボイス発行事業者(売手)には、一定の場合を除き、取引の相手方(課税事業者に限ります。)の求めに応じて、インボイスを交付する義務及び交付したインボイスの写しを保存する義務があります。
2.返還インボイス
インボイス発行事業者(売手)は、課税事業者に返品や値引き等を行う場合、返還インボイスの交付義務が課されています。インボイスと返還インボイスは1枚の書類で交付することも可能です。
3.簡易インボイス
不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等の取引については、インボイスに代えて、簡易インボイスを交付することができます。簡易インボイスの記載事項は次の通りです。
(1) インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
(2) 取引年月日
(3) 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
(4) 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)
(5) 税率ごとに区分した消費税額等率又は適用税率
※インボイスの記載事項と比較して、インボイスを受取る事業者の氏名又は名称を記載する必要がありません。つまり、現在ご利用のレシートなどの記載事項を改定してインボイスにすることができます。
4.請求書のみでインボイスの記載事項を満たさない場合
インボイスは一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はなく、交付された複数の書類相互の関連が明確であり、その複数の書類によりインボイスの記載事項を満たせば問題ありません。例えば、請求書と納品書を合わせてインボイスとすることなどが考えられます。
5.交付義務の免除
インボイスを交付することが困難な公共交通機関である鉄道等の運送、自動販売機等により行われる販売についてはインボイスの交付義務が免除されます。